レンズ沼浚渫工事 vol.4「富士フイルム XF90mmF2 R LM WR」
投稿日時:2025年2月
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楽しい楽しい135mm
前回のFUJINON GF23mmF4 R LM WRに書いたように、小生は望遠側も広角側も足りないX-T3のキットレンズに不満を持っていました。しかし手をこまねいていたわけではなく、組み合わせるのに良さそうな望遠レンズをずっと探していたのです。当時存在したレンズとして、ほかにXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRとXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroに注目していました。しかしこの2本は嵩張るうえに高価なので、そう気軽に手に取れるものではありません。そのため、値段もサイズもお手頃で、しかもMTF特性曲線が素晴らしいXF90mmF2 R LM WRは最有力候補になっていました。
実は、キットレンズよりも長い望遠を先に実現したのは、Canon FTb、FL135mmF3.5、そしてNewFD300mmF5.6でした。これら3つは発売当初から持っていたわけではなく、X-T3でカメラに入門したあと、きまぐれに銀塩のリバーサルフィルムを使ってみたくなって導入したものです。このFL135mmF3.5が曲者でありました。
変な焦点距離だなと思っていたのも初めのうち。この広くはない画角で被写体を捉えるには、相手をよく観察してフレームにうまいこと配置しなくてはなりません。そのために、撮影はレンズを向けてシャッターを切ればよいというものではなくなり、どうやって撮るか相手を分析するということを学んだのです。さらにこのレンズは古い設計で廉価であるにもかかわらず驚くほどの解像力を示し、しかも焦点距離が長くなった分ぼけの量が多くなっているので、この2つの効果によって被写体は背景からくっきりと浮き上がり、明瞭な存在感を示したのです。
こうして、135mmという画角はお気に入りの一つになったのでした。
キャッシュバック・キャンペーン
そうこうしていると、あるとき富士フイルムがキャッシュバック・キャンペーン[1]を発表しました。XF90mmF2 R LM WRも対象で、キャッシュバックの額はたしか2万円だったと記憶しています。これはまさしくチャンスでした。小生は待っていましたとばかりにカメラ店に行き、XF90mmF2 R LM WRを注文したのです。
しかし小生は結局キャッシュバックを受け取りませんでした。もったいない?いいえ、二つの壁があったのです。ひとつに箱のバーコードを切り取るのに抵抗があったこと。それともうひとつ、製品登録をしたら、その人の持ち物だという呪縛を与えられるように思われて、それを避けたかったこと。
手元にあって、使える。それを実現できたのですから、たかだか2万円逃したくらい大したことではありません。
X-T3の懐刀として
実際に使ってみてまず感じたのは、爆速のオートフォーカス。XF90mmF2 R LM WRはクアッド・リニアモーターを搭載しており、重いレンズ群を俊敏に動かします。小生の知る限り、XFレンズのなかでクアッド・リニアモーターを搭載するのはXF90mmF2 R LM WRだけです。また、かなりでかくて重くなるフルサイズ用135mmF1.8[2]にはまねできない小型軽量なので、持ち歩いてもまったく苦になりません。そしてMTF特性曲線から期待されるとおり、合焦したところから被写体が鮮明に現れる、抜群の解像力を発揮してくれます。さらには使う喜びを惹起する総金属製鏡筒と絞りリングまで。いつでも持っていたくなるレンズです。
XF90mmF2 R LM WRの諸元[3]
名前・型番 | フジノンレンズ XF90mmF2 R LM WR | |
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メーカー | 富士フイルム | |
シリーズ・ブランド | フジノンXFレンズ/Xマウント単焦点レンズ | |
マウント | Xマウント | |
レンズ構成 | 8群11枚 EDレンズ3枚 |
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焦点距離 | f=90mm | |
イメージサークル | APS-C | |
画角 | 17.9° | |
絞り値 | 最大 | F2 |
最小 | F16 | |
絞り羽根枚数 | 7枚 | |
フォーカス | インナーフォーカス クアッド・リニアモーターによるオートフォーカス |
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撮影距離 | 0.6m~∞ | |
最大撮影倍率 | 0.2倍 | |
操作系 | 絞りリング、フォーカスリング | |
耐候性 | 防塵防滴耐低温構造 7ヶ所のシーリング、-10℃の耐低温 |
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サイズ | 最大径 | 75.0mm |
長さ | 105mm | |
フィルター径 | φ62mm | |
質量 | 540g | |
発売日 | 平成27年7月16日(木) |