オリンピックのメダルを拡張する
投稿日時:2024年8月
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金属元素はもっとありますよ?
4年に一度のオリンピックが開催されています。ニュースから誰某が何某の競技でメダルを取ったと、しきりに報じられているのが、この数日。
オリンピックでは、優秀な成績を収めた選手にメダルが贈られるのが恒例です。一位の選手には金のメダル、二位の選手には銀のメダル、三位の選手には銅のメダルです。この三種の金属は紀元前から知られていて、古代オリンピックは伝承によると紀元前776年から行われていた[1]ので、時代考証としては良いでしょう。
しかし、金属元素はほかにも多数あるので、現代でならもっと多くの選手にメダルを授与することができるはずです。そこで、元素単体をメダルに加工するという設定で、以下のように32位まで拡張することをここに提案します。
なお、選考の前に、可燃性の高い1族と2族元素、手のひらで融けるガリウム、安定な同位体がないテクネチウムとプロメチウム、明らかに有毒なカドミウムと水銀とタリウムは除外しました。手に持てないメダルでは喜べませんからね。
新しいメダルのラインナップがこれだ!
1位~4位
1位:ビスマス
昨今の文化では、金よりもさらに優れた演出として、虹色で彩ります。その点で、酸化膜が虹色を呈するビスマスほど優勝者にふさわしい元素はありません。なお安定同位体がないのですが、ビスマス209の半減期は1.9×1019年もあるため、実用上問題はありません。
2位:イリジウム
虹の女神の名を冠する元素。実際に虹色ではない点でビスマスに一歩譲るものの、地殻の存在量が極めて少ないため高貴さは全く引けを取りません。
3位:ロジウム
光の反射率がよく上品に輝くばかりか、耐食性・耐摩耗性にも優れた、貴金属の中の貴金属とでもいうべき存在。地殻の存在量もとても少ないです。勝利者の胸元を永久に祝福するでしょう。
4位:レニウム
地殻の存在量も特に希少な金属であると同時に、融点がかなり高く非常に優れた機械特性を持ち、ジェットエンジンやロケットエンジンなどに用いられる、科学の最先端を支える元素。
5位~8位
5位:パラジウム
美しさもさることながら、「水素収蔵」の特性や触媒としての優れた効果がある。
6位:ルテニウム
白金に似ているが、自然白金に含まれる量は2%程度しかない、とても得られにくい元素。
7位:タングステン
金属の単体としては最も高い融点を誇る。硬度も非常に高い。
8位:白金
科学的にとても安定した元素。キログラム原器やメートル原器にも利用された。
9位~16位
9位:金 10位:タンタル 11位:インジウム 12位:チタン
13位:鉄 14位:ネオジム 15位:ニオブ 16位:モリブデン
17位~32位
17位:銀 18位:ニッケル 19位:クロム 20位:アルミニウム
21位:コバルト 22位:バナジウム 23位:マンガン 24位:ジルコニウム
25位:銅 26位:イットリウム 27位:ハフニウム 28位:スカンジウム
29位:マグネシウム 30位:亜鉛 31位:スズ 32位:鉛
調べて初めて知りましたけど、ベリリウムとオスミウムも毒性があるのです。オスミウムは青みがかってて美しい白金族元素ですが、綺麗な薔薇には棘があるのでした。鉛も健康にいい元素ではないので、鉛メダルを授与された選手は、念のためかじるパフォーマンスはやめておく方が無難でしょう。